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【低成長時代の会社選びと年代意識差】

夏休みのお盆の頃に、就活から解放された息子の友人たちが
わが家に来てくれていた。
食事などの機会に、現代の「会社選び」「人生選択」について聞く機会があった。
それと一昨日、はるか40年以上前に会社選びをした高校同期の同窓会があった。
その両年代での意識差について感じることがあった。

一部上場企業ばかり9社から「内定」をもらったという息子の同級生。
話を聞いていても、わたしも「こういう学生ならウチの会社に来てもらいたい」と
率直にそう思えるタイプだった。
わたしのように一流企業就職にはまったく縁のなかった人間には
はじめてこういった人材から話を聞く機会を得たようなものでした。
一流企業というのはこういった人材が入社していくのか、とも新発見した。
で、結局どういう会社に入社するの?と聞いたら、
その会社の将来性を最優先に考えて、入社先を決定したという。
いまの世界の動き、技術革新の進展、経済動向など分析は
きわめて現実的で鋭利なものがあり、わたしも納得もできた。
かれなりに、長期的経済動向を見据えてある業種のトップ企業に決めたという。
「これからは、この業種が先端的になっていく」という選択眼。
人生選択の最初の段階で、長期的な視点と人生プランを立てている。
かれはアルバイト先の選択でも東京都心のレストランを選択していて
そこにはたとえば黒田日銀総裁のような方たちなども出入りすることがあり、
あるときには会話を交わしたこともあったと言うことだった。
まことに人生に対して「戦略的」な考えを持った青年だと感心させられる。
聞いたら、大学1年生の時からそういった考えで行動してきたという。
と思えば、バックパッカーでいろいろな国も見てきているという。
そういった青年なので、会社選びにもまことに戦略的な選択をするのだろう。
日本経済は低成長の時代が長く、また業種によって衰退化傾向も現れている。
わたしが選択したメディア関係、広告関係という業種。
たとえば雑誌出版事業などは、1995年をピークに
いまは、業種全体で総売上規模がほぼ半減している。
業種に対する選択眼で就活生から、厳しくふるいに掛けられるのですね。
そういえば、朝日新聞に東大からの応募者がゼロになったと話題にもなった。
たしかに情報の世界はインターネットという巨大発明によって、
もっとも大きく揺さぶられているとはいえるけれど、そもそも
わたしたちの就職時期には、こんな技術は影も形もなかったのだ。

そんな話題を同窓会で振ったら、わたしたち現在66-7才の年代は、
「どんな業種も拡大していく意識しかなかった」というのが多くの声。
そうなのだ、高度成長の余韻の中で人生をスタートした年代には
日本経済や資本主義が無限に拡大するイメージの方が一般的だった。
どんな業種が伸びるかというよりも、それぞれに伸びると考えていた。
少なくとも、どの業種が衰退しどの業種が伸びるかというように
シビアに選択するより、その位置でベストを尽くすことを優先と考えていた。
逆にいまの若い人たちは、資本主義の大きな変化を肌で見て知って、
その変化の中での「安定」をこそ志向しているのだと思える。
政治意識も含めて、こうした世代の相違はきわめて大きい。
ひとの意識に於いて、時代は移っていくことを実感させられた次第。

<写真はひな鳥の寓意ですが・・・無関係>

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