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【現生人類だけの能力 抽象⇒想像=創造】

ラスコー展の図録2500円なりの本を見続けています。
まさにいまは「座右の銘」であります(笑)。
生きているうちにこういった知的興奮を経験できて、非常にうれしい。
インスピレーション基底の部分で、非常に強力なものを受け止めているのですね。

で、いちばん感じていることは、
この壁画群は「絵画のはじまり」「芸術の爆発」とされていること。
現生人類の特殊性をそこに見る思いがすることです。
わたしたち現代人に連なってくる祖先には、
この壁画で示されるように「ものごとを抽象する能力」が20,000年前から発現している。
いま現在の文明からすれば、絵画を描くということはごく自然だと受け止められるけれど、
考えてみれば、ほかの動物たちやホモサピエンス以外の他の旧人類からは、
こういった能力についての痕跡は認められないとされる。
自分たちが見て、心を揺さぶられ興奮することがら、
かれらクロマニョン人にとっては、狩猟の対象である動物への深く強いこだわりが、
このような洞窟絵画創造という営為に至らせた。
対象への強い思いはそれらを抽象する思考を生み出した。
その動機はまだ不明だけれど、絵画という手段で内的な想像の世界を、
創造力を働かせて、表現するという営為に大変な労力を注ぎ込んでいった。
わざわざ、普段の生活では使わない洞窟深部まで入り込んでいって、
貴重な動物油分を抽出しそれを移動可能な容器に入れた光源ランプを創造し、
高所作業での安定性を確保するために、ハシゴも創造して、
さらに絵画表現のためだけとしか思われない彩色顔料を鉱物資源から探索し、
それを加工して絵の具として利用している。
生きる基本生活とは無縁と思われる、こうした全プロセスを、
非常な努力・営為で創造し、活用して、想像力の産物である絵画を生み出した。
こういった抽象⇒想像力=創造力の全営為に深く打たれているのです。
すでに20,000年の昔にわたしたちのDNAはこういったことに命をかけていた。

わたしたちホモサピエンスは地球上の全大陸に拡散したのですが、
こういう動物種はきわめて珍しいのだそうです。
そのグレートジャーニーというエリア拡散にあたっては、わたしたち日本人にも直接繋がる
先祖たちが「航海」という、これまた不思議な営為を創造したとされる。
クロマニョンの人々が、絵画表現という創造を見せていた同時代に
海をわたっての未知なる世界への移動を想像し、
そのための方法を創造して航海という人類的知財を実現させた祖先たちがいた。
こういう想像力、未知なることへの強い興味というものに、
クラクラするようなフロンティアパワーを感じています。
まさに奇跡を生み出し続けるのは、人類の抽象⇒想像力=創造力だと。

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