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沈黙するレンガ壁面

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先日の建築家住宅バス見学会より。
フーム空間計画・宮島豊さんの設計住宅の様子です。
台所の壁面って、一般的には脂汚れを拭き取りやすい白っぽいタイルが一般的。
なんですが、この家ではごらんのようなレンガ仕上げ。
宮島豊さんの住宅ではほぼこの仕様で、大好評ということ。
全体に落ち着きのある陰影感に満ちたインテリア空間が
特徴なんですが、
そういう雰囲気が、最近の「建築デザイン」の素材感に乏しい
壁の薄さを強調しているようなデザイン傾向とは一線を画しています。
で、そういう空間を、徹底的に機能性を強調しながら
建て主さんに説得するのです。
このレンガ壁面も大変理にかなっているのですが、
出来上がってみると、この質感がなかなかいい。
半割レンガをタイルのように張り込んでいく仕上げなんですね。
ざらざらとした質感が、ステンレスの台所機器と対比的で
インテリア的な納まりがシック。
よく聞くと、このレンガは、いわゆる「ハネ」品と呼ばれるもので、
野幌のレンガ工場でも製品出荷できないもの。
安価なものなんですが、でも、使い方で高級感を見せる。
お金の使い方、なかなかうまいなぁと感じます。
それにしても、最近の東京を中心とする建築家住宅の
「シンプルモダン」ぶりって、
ちょっと、どうなんだろうかと思われます。
住宅というのは、そこで成長する子どもの「こころ」を編み上げていくものだと思うのです。
子育ては「錦を織る」仕事なのだ、という言葉を聞きます。
さくらさくらんぼ保育の考えの基本のような言葉。
人が生きていくときに、こころの「襞」のようなものが
絶対に必要であり、他者への「思いやり」というような
暖かみのある人格形成に預かっているのではないかと思うのです。
そのように見てくるとき、
あくまでも白く、スカッと開放的で、壁の質感を否定しているような
デザイン空間って、どうも薄っぺらさを感じてしまう。
こういう空間で、「さめざめと泣く」っていうような成長期の貴重な体験を
いまの子どもたちは、得ることが出来るのだろうかと
つい、考え込んでしまうことが多いのです。
そんななかで、こういう質感を重視した空間作りを心がけている
住宅を見ていると、やはり安心できる。
こころに「沈黙」を得ることが出来る空間、っていうような
そんな感覚が迫ってきます。
みなさんいかが感じられるでしょうか。
北のくらしデザインセンター
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