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北海道神宮末社・開拓神社

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やはり神社というのは面白いのですが、
最近はいつもの散歩をさせていただいている北海道神宮に興味があります。
蝦夷国一の宮という社格を与えられている神社です。
こういう「社格」というものが存在し続けてきたというのも面白いのですが、
北海道神宮は、明治の創建以来、この社格がずっと上昇し続けてきた、
言わば、日本の神社の一番星であります。
北海道は、日本という国家の国運を賭けた地であったわけで
日本が世界に開国して以来、ずっと仮想敵であったロシアに対しての
最重要防衛拠点であり続けてきた。
日本の神社のなかで稀有に、鳥居の方位が北東に向けられています。
これは、ロシアに対しての国家意志を明確に表現したものであって
もっとも暴力的な「欧米列強」に対しての日本民族の敵愾心を表しているそうです。
まことに神社というのは面白い。

なんですが、日本国家にとってもっとも肝要なことは
この蝦夷地新天地に民族としての開拓の鍬を入れ、入植の実を上げることだったはず。
その意味で、北海道神宮の末社に「開拓神社」があるのですね。
で、その神社に祀られている「祭神」として、以下の37人が上げられている。

吾妻謙命 伊能忠敬命 井上長秋命 岩村通俊命
岡本監輔命 黒田清隆命 小林重吉命 近藤重蔵命
佐藤信景命 佐野孫右衛門命 島義勇命 清水谷公考命
下国安芸命 鈴鹿甚右衛門命 栖原角兵衛命 高田屋嘉兵衛命
武田信広命 田崎東命 伊達邦直命 伊達邦成命
田村顕允命 続豊治命 中川五郎治命 永山武四郎命
鍋島直正命 早川弥五左衛門命 東久世通禧命 本多利明命
松浦武四郎命 松川弁之助命 松田伝十郎命 松前慶広命
松前徳広命 間宮林蔵命 村山伝兵衛命 最上徳内命
依田勉三命

「命」とあるのはみな、「みこと」と読むのですが、
仏教の戒名とは違って、俗名+命なので、わかりやすい。
歴史を好きな人なら、このうちの半数くらいはどこかで名前を聞き知っている。
とくに十勝の晩成社の依田勉三命も祭られているのは、印象深い。
かれは、官僚主導型の開拓であった北海道西部に対して
開拓移民団を組織して、十勝の開拓に情熱と人生のすべてををかけた。
最後は仲間からもよく言われなくなるような境遇になったそうですが、
やはり北海道開拓の最重要な人物だったと思います。
北海道西部地区が、ケプロンの献策とは違って
米作の寒冷地での推進、という方向に向かったのに対して
なにも導かれなかった十勝の開拓移民たちは、ケプロンの献策通り、
米作ではなく、畑作中心の農業経営の方向に向かった。
こうした人物も神として祭っているのは、喜ばしい。

毎朝、なにげなく通り過ぎる神社なのですが、
人間の痕跡を感じさせてくれて、楽しい。
折から、北海道神宮例大祭では神さまたち、
年に一度、御神輿として「渡御」されます。
コースを見ていたら、ススキノ周辺も回遊される。
なじみ深い神社の年間最大行事であります。
日本でいちばん末っ子の神社なのでしょうが、
だんだんと歴史が積み重なっていくのでしょうね。

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