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夏の生き物たち

札幌の街も、雨が上がると夏らしい気候が戻って来ます。
雨上がりだった昨日朝は、朝日が上がってくると共に
その湿気が地面から立ち上ってきて
まるで霧のように森の中を包んでおりました。
そのなかに陽射しが幾筋もの光の束になっていて
まことに夢幻的な光景が広がっていました。
札幌でもこんなに湿度が高くなることがあるんだ、とびっくりするほどの多湿ぶり。
北国育ちの人間には、こういう季節感って
羨望にも似た思いが募ってきます。
ようやくにして、束の間、蒸暑の日本であることができる、
というような痛切な感覚が迫ってくるのですね。
まぁ、人間はそこにないものに憧れるというものなので、
南のみなさん、一般の日本の多くの人たちが夏になると
「北海道、いいですよね〜〜〜」と
泣きそうになりながら話してくれるわけですが、
こっちは、逆にいまの燃えたぎるような蒸暑の日本に強く惹かれているのです。

で、そういうのは人間だけではなくて
動物の世界でも、営まれているのですね。
写真は、ある沼地で撮影した「イトトンボ」です。
小さい頃は、北大の構内にあった沼地に良く出掛けたおりに、
束の間の蒸暑気候に寸暇を惜しむかのように、かれらが飛び回っていた記憶がある。
さらに強い羽音の「ギンヤンマ」も飛来したりしていたのですが、
さすがに敏捷に動き回るかれらはカメラには納まらない。
蒸暑の日本では、こうした高温多湿の結果、
土にも独特の粘度が加わり、また強い季節の薫りが立ち上ってきますが、
北海道でも、そのさわりのようなものまでは感受できる。
もうしばらく、こんな季節感を楽しんでいたいと思いますね。

そんな雨上がりになると
道上に、ごらんのような元気のいい「ミミズ」も徘徊してきます。
かれらの生態って、よく知らないのですが、
沼とか川などの水辺とは離れた場所で、
雨上がりにはよく見かけます。
きっとカラスなどの野鳥類にとっては、格好のおやつなんでしょうね(笑)。
しかし、そうはならじと必死に逃げ場を求めて
動き回っている姿、応援したくはなるけれど
自然の摂理のなかで、きっと厳しい運命はあるのでしょう。
そういういろんな断面を見せてくれる、真夏の毎日の散歩道です。

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