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がれき撤去がようやく進む女川

いま、わたしの方には、
岩手県宮古市の「復興ボード」の中心メンバーたちから
「高断熱高気密住宅」の札幌住宅研修ツアーの申し入れが来ております。
この「復興ボード」というのは、震災で大量に発生したがれきを分別して
合板の原材料として再生利用しようという運動です。
実際にこのボードを使っての住宅づくりも始められていて
国交省の「省CO2 先導事業」にも採択されて、
もうすぐモデルハウスも建てられます。
こういった被災地の元気を盛り立てようという運動には
ぜひ支援をしていきたいと考えています。
また、この「復興ボード」を使った家づくりを北海道でもできないか、
そんな思いも持っている次第。

というようなことなのですが、
被災地ごとに、このがれきの問題はいろいろであります。
宮古のみなさんからは、
「これからの俺たちの復興資源になるんだから、何年かかってもボードに加工したい」
というまことに元気な声も聞かれるのですが、
しかし、がれきの置き場が大きな面積を占めていて
とくに平坦地の少ないリアス式海岸地域では、
土地利用の制約になっているというのも明白な事実。
大きな復興困難要因であることは間違いない。
写真は、土曜日に見てきた女川町の津波被害地域の様子です。
よく震災の象徴のように写真に写されていたビル1棟まるごと横倒し現場。
いまは、周辺もすっかりがれき撤去が進んでいて、
全国からの支援の漁船が使われての漁業の再生も徐々に始められています。
リアス式海岸の漁師さんたち、船がほとんど失われてしまったのですね。
この倒壊したビル、
震災の象徴として、公園化する予定というこの平坦地に
そのまま置かれるか、どうかということだそうです。
まぁ、撤去の方向と言うことだそうですが、
「復興国民会議」の宣言冒頭にあったような
建築家・安藤忠雄さんの設計による「震災モニュメント」の制作よりは
事実の明瞭な後世への伝達という意味で、残した方が価値があるように思います。
で、このように平坦地がきれいに整備されてきているのは
女川町のがれきを東京都が100万トン、処理を受け入れてくれたことが大きい。
そういった道筋が明確になることで、
絵に描いた「復興計画」というものが進み始めるのですね。
今日の報道を見ていたら、以下のような記事も。

「放射能、ごく微量…北九州市のがれき試験焼却」
 東日本大震災で被災した宮城県石巻市のがれきの受け入れを検討している北九州市は28日、がれきの試験焼却で採取した焼却灰などの放射能濃度の測定結果を発表した。
 大半の試料から放射能が検出されず、最大値も1キロ・グラムあたり34ベクレルと、市が独自に設定した安全基準(1キロ・グラムあたり330ベクレル)の10分の1にとどまり、国の焼却灰の埋め立て基準(同8000ベクレル)を大幅に下回った。
 市は「人体や環境に影響はないレベルで安全に処理できる」としている。31日の専門家による検討会に報告して意見を聞いた後、6月6日のタウンミーティングで北橋健治市長が市民に説明し、6月中にもがれき受け入れについて最終的に判断するとみられる。
(2012年5月28日23時51分 読売新聞)

といような話題が発表されていました。
しかし一方で

「地獄に堕ちろ」がれき焼却の島田市にメール
 東日本大震災で発生したがれきの受け入れを始めた静岡県島田市は28日、「首を洗って待っていろよ」などと書かれたメール8通が、市の代表アドレスに届いたと発表した。
 受け入れに反発する内容が記載されており、市は、脅迫とも受け取れるとして、県警への被害届提出を検討している。
 市によると、メールは5月20~25日、同じアドレスから届き、「がれき焼却を続けるだと!」「地獄に堕ちろ」などと書かれていた。
 島田市を巡っては昨年12月にも、インターネットの掲示板に、がれきの受け入れ方針を示した桜井勝郎市長を脅す内容の書き込みがあり、静岡簡裁が今年2月、脅迫罪で略式起訴された男に罰金30万円の略式命令を出している。
(2012年5月28日20時38分 読売新聞)

っていうような記事も掲載されていました。
こういった国民意識の分裂、悲しいことですが、
やはり、共存共苦の心が復興を進めていくのではないでしょうか。

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