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高台移転とは言うけれど

宮古での講演と平行して、宮古で住宅の取材でした。
宮古は、大槌などの集落とは違って津波被害は局所的というのが特徴。
そういうことなので、今回の私の講演のように
「復興」というフレーズが始まってくるのが早い。
しかしそうはいっても、被災したみなさんの最大の問題は
「どこに建てるのか」という問題。
宮古のように局所的被害とは言っても、
では、そうしたみなさんはどこに家を建てることが出来るのか
「高台移転」とはいうけれど、
現実には建てられる敷地はすでに利用され尽くしていて
相当、旧来の土地から離れなければ、土地を探すことが出来ない。
写真は、震災前から計画していて震災後に新築された家から
海側を臨んだ写真位置なのですが、
こうした高台地域って、それこそ山の急傾斜をなんとか整地して
ようやく住宅地にしました、という敷地。
北海道のような敷地や公共道路にゆとりがある地域の常識からすれば、
ここで毎日生活するのは、4DWのクルマが不可欠だなと
そのように思ってしまいます。
そのうえ、土地がきわめて貴重なので、道路幅員は
究極的に狭くなっていて、
取材中も、工事車両が荷物を搬入させるのに
大汗をかいてクルマのハンドル切り返しを行っていた。
たとえ敷地がなんとかあったとしても、高台では工事の維持管理コストが
倍増せざるを得ない。
そういった現実の前では、やはり大規模な公共土木工事でも行って
周辺の山などを切り崩したりでも、するしかないのではと思えます。
こういった現実に対して、やはり公的な環境整備があまりにも遅れている。
さらに震災がれきの問題。
その「保管場所」の多くは津波被害地域ではあるけれど、
使える土地がこういった利用のされ方をしているのも現実。
札幌市の市長さんは、エゴイズム丸出しに震災がれき受け入れ反対を言いましたが、
そこに暮らしているものとして、本当に恥ずかしい。
そういうことを宮古の人たちに謝ると、
「いや、受け入れないで下さい。がれき処理も現地の建築業者にしてみると
貴重な仕事のタネです。自分たちで50年かけて処理します(笑)」
というような、諧謔的表現で返されてきました。
それって、50年こうした現実が継続することを意味する。

宮古から、沿岸に沿って大槌や釜石なども取材してきました。
がれき処理が、遅々として進まない現実を
目の当たりにします。
全国の、震災がれき受け入れ反対のみなさん、首長さん、
よくこの現実を考えて下さい。
地域エゴイズムに対してまっとうに立ち向かっている
石原慎太郎東京都知事さんには、政治的立場はどうであれ、
正論を見る思いがしています。

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