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ふくしまの家プロポーザル

さて、本日は大みそかであります。
一年納めの日ですが、ことし一番気に掛かって活動してきたのは
福島県のことでした。

大震災発生後、東北での出版活動もあって、
だんだんと被災県との関係が深まっていきました。
そういうなかでも、福島県は
原発被害もあって、収束の道筋が見えないただ中にあります。
しかし、そういう危機状況の中で
応急仮設住宅を地域工務店の手で木造で1/3近くを作るなど、
日本のこれまでの行政に一石を投じる流れを作ってきました。
福島県の大きな決断があってはじめて
震災と応急仮設住宅、そしてその既得権益構造が明らかになった。
これまで、震災の度ごとに
主に鉄骨造のプレハブに対して、その居住性の問題が
繰り返し指摘されてきていた。
しかし、そのたびに国のプレハブ協会との「随意契約」が障壁になって
その可能性は閉じられてきていたのです。
それが、今回は国の不活発な動きと福島県の機動的な対応で
一気に可能になった。
合計14000戸の仮設住宅のうち、4000戸が木造で建てられた。
このことが、これまで住宅政策から疎外されていた
地方公共団体や、地域の作り手たちを大いに刺激した。
これまでのヒエラルキーであれば、大手ハウスメーカーが
震災を契機にシェアを伸ばす、というのが一般的な傾向だったのですが、
ユーザーも含めて、こうした構造が明らかになったことで、
今後の動向がどのように推移するか、
分水嶺が見えてきているようにも思います。

そうしたなかで、
福島県ではいま、さらにそうした動きが進んでいる。
12月9日発表で、1月17日提案締め切りという駆け足日程ではありますが、
地域の作り手たちによる「地域連携」での
「ふくしまの家」という提案競技が開示され、
それに向けて、大きなうねりが生じてきています。
これは、主に「復興住宅需要」に対して、
地産地消や、地域経済の活性化などを大きな目的として
プランの合理性と、有効性を県民ユーザーに示していく設計・生産システム提案競技。
2月7日には、最終的に8つのプランに対して
「ふくしまの家」というブランドを付与し、
大いに県民に対してアピールしていこうという試みです。
審査委員長の三井所さんの言葉によれば、
「(住宅の)大化の改新」という大胆な施策といえるでしょう。
たしかに、ハウスメーカー育成というこれまでの、国をはじめとする
住宅施策が大転換して、地域主権型に転換していくかどうかの
大きな転換点といえると思います。
年末年始期間ではあるけれど、
こうした大きな胎動が、いま、起こっているのです。

<写真は、福島県の古民家堀切邸の門構え>

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