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北海道の古民家

北海道でも、開拓から140年以上経って
ようやく古民家というものへの理解と郷愁に似たものが芽生えて来つつある。
Replan誌面でもお馴染みの武部建設さんは、
こうした面で主導的な役割を果たされているが、
その慧眼にはうなずけます。
開拓初期に入植して生活が安定してきた農家は、
与えられた耕地面積も大きく、
また、開拓したての農地は地味も豊かだっただろうから、
大きな農業収入が可能だった。
最初の住宅はそれこそ竪穴と大して変わらない仮小屋だっただろうけれど、
やがて、しっかりとした木造建築を建てたいと館上げはじめる。
そこで、その出身地の建築様式に似せた住宅を建てた。
当然だけれど、建築材料はその開拓地周辺の森から自ら切り出してきた。
そういった建築材料は見事な大径木材であり、
いま古材となって出回って、あらためてその立派さに驚くという。
そういう住宅が、しかし、その価値をわからないまま、
寒いから、古いからと言って簡単に解体している。
まことにもったいない。
また、そういう現実の進行に、この地での生活文化の積層が間に合わず、
購入してその「古び」を愛でようという文化が十分には育っていなかった。

しかし、最近、他の出版社ではあるけれど、
「HO」という首都圏で言えば「東京人」のコンセプトに近い雑誌が
北海道でも出てきて
密かに、静かに若い世代から、古くて寒い家を購入して
手を加えて、その味わいを店舗などのベースにして生かそうという
考え方が出てきている。
そういう店舗に行くのはなかなかに楽しい。
まぁ、やっと出てきてくれたか、というところ。
これからそういう文化が出てくると、
わたしのような化石的生活文化愛好者にも日の目があたるかも?
そんな妄想を、ときどき楽しんでおります。

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