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潜熱蓄熱壁の行く末は?

壁を巡っていろいろな試行が行われてきています。
いわゆる「潜熱蓄熱壁」というものです。
原理としては、たとえばユニクロなどの
「あたたかい衣類」に使われている潜熱蓄熱材料を応用したもの。
融点温度を一定温度に設定した素材をパウダー状にしたものを
塗り壁材料に練り込んで、塗り壁に「蓄熱機能」をもたらせるというもの。
そういう単純な段階のものから、さらに
低温水暖房をパイピングした毛細管現象利用の「暖房放熱器」マットを
下地に埋め込んで、「壁暖房」とするタイプなど
いろいろな試行が行われてきています。
Replan誌面の2号ほど前にも掲載したのですが、
そのあたりから、にわかに注目が集まってきているシステムです。
建築家・宮島豊さんも取り入れていて、
もうすぐ1年の状況データも出てくることになっています。
こういう新システムは、やはり実証データが不可欠。
あれこれの評価はそういうデータを見てから考えるべきでしょう。

きのうは、その実験住宅を見学して参りました。
断熱的にやや物足りない部分があって、
次世代基準すれすれか、もしくはそれ以下っぽいので、
完全に参考になるかどうかは、見えてきませんでしたが、
空気質自体は悪くはない。
それと気になったのが、壁暖房でありながら、
壁の断熱が外張り断熱のみで、
壁の中に空洞部があるという点。
せっかく壁に蓄熱していても、放熱は室内側にも、
また壁内部側にも伝導していくと思われるので、
100mmの発泡系断熱材とはいえ、たとえば北面と南面では
壁内部の空気温度には違いがあると考えられる。
そうすると、熱移動があって空気に対流を生じるのではないか。
いわゆる「静止空気」が断熱の原則だとすれば、
小さい熱源の場合、大きなロスとして
このような問題が出てくるのではないかと思われました。

しかしこのような試行の積み重ねが技術の進化を促すのであり、
北海道のフロンティア性はまだ健在に生き続けている、
そんな力強い思いを抱きました。
写真右側の壁は、箱館奉行所の塗り壁壁面。
こういう美しさの中に、
ゆったりとした蓄熱暖房が仕込まれていく、
そういう近未来的なありようを夢想する次第です。

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