本文へジャンプ

【富山由縁の寺院火災厄除け・木彫装飾、わが家に】


北海道で古建築探究といえば三笠・岩見沢が拠点の武部建設さん。
民家関係の全国組織での活動も目覚ましく、実際の古民家再生などの実績も豊富。
そういうことで道内各所からの「引き合い」も多いのだと言うこと。

昨日事務所に帰ってきたスタッフから
「武部さんの社長から、これあげると預かってきました」と
差し出されたのがこの写真の木彫装飾。
武部社長が懇意の寺院の建て替えのときに、忙しくて受注できなかったけれど
「もし入り用なら、いまある建物の一部など、持って行って・・・」と
こころよくプレゼントされたのだと言うこと。
で、軒上に飾られていたこれをノコギリでカットして持ち帰り
それを「三木さんなら、喜んでくれるのではないか」と託してくれた。
さっそく武部社長にお礼の電話連絡すると
「これは浄土真宗の寺院で、富山県地方から来た宮大工の手のもの」
というような来歴をお聞かせいただいた。
北海道は日本海交易、北前船交易が歴史的にながく根付いている。
富山地方は戦国期以来、門徒(浄土真宗)の盛んな地域。
そこから北海道に渡ってくる人々が多かったので、必然的に
そういった宗派寺院も建てられるようになったとされるのですね。
札幌と室蘭を結ぶ「本願寺道路建設」という故実もある。
で、宮大工さんの手仕事としてこのような工芸的木彫装飾が作られた。
材質はタモだそうで、見た限り「一木」からの木彫品。
デザインは右側に滝と落ちる「波濤」が描かれ、そこを起点に川の流れ。
波頭がギザギザ表現もされそこに水鳥と思われる2羽が浮き彫りされている。
「寺だから火災をいちばん怖れていて、その魔除けで水がデザインされた」
という武部社長の建築的推定でしたが、作法として間違いないでしょう。
それにしてもいかにも丹精の籠もった一木彫り。
永くこの寺院を火災から守り通してきた一種のプライドも匂い立つ。
きっと大工職人の「心意気」みたいなものが籠もっているのでしょうか。
こういった木彫装飾は一軒の寺院に相当数作られたことでしょうが、
富山県から北海道に出張して来ていた間に造作したのか、
あるいは富山の「本社」の土場でたくさんの大工職人さんたちが
寸法規格を統一させて分業制作していたものか、
その制作工程にもいろいろな想像力が働いてくる。すばらしい。
絵図からこういった立体を紡ぎ出していく「手業」は、時代を超えて迫ってくる。

たまたま、最近ブログでは富山の豪農住宅も記事化した。
モノにはある種の「因縁」というものがあると思う。
いただいたこの木彫装飾、どこかに端座させたいと思案しております。

コメントを投稿

「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」

You must be logged in to post a comment.