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【なぜ各地神社ごと注連縄デザインは違うのか?】



宗教建築、とりわけ神社は毎日、北海道神宮に参詣する習慣もあって、
各地を訪れる度に各地域の神社を参拝させてもらいます。
まぁ歳も取ってくると、夜のクラスターのような場所は縁遠い(笑)、
こうした場所が親しい訪問場所になるのは、ごく自然でしょう。
建築としてこれらの神社建築はそれはそれでオモシロいのですが、
東大工学部・内田祥哉名誉教授から親しくご教授いただいたところでは、
神社仏閣建築では明瞭な「様式の違い」というものは確認できない、
というように断言されておられました。
日本の建築学の中枢にいられる先生からのお言葉なので、
そのように素直に受け止めさせていただいておりました。

なんですが、その周辺的象徴デザイン装置として「注連縄」があります。
どうも最近、この注連縄の「デザイン」の違いについて興味が募っています。
まことに全国各神社で個別デザインのオンパレード。
大きなグループ分けは可能だけれど、個別の違いも大きい。
たくさんの神社建築写真がありすぎるので、いわば代表選手的に
上から出雲大社、北海道神宮、そして相模国一の宮・寒川神社であります。
まぁ神社と言えば、伊勢神宮が中核中の中核でしょうが、
ご存知かと思いますが、伊勢では内宮・外宮とも注連縄はない。
榊がそれに代替するとして位置づけられているそうです。
そのこともまことに興味深いなぁと思っていますが、一方で伊勢のすぐ近くに
有名な「夫婦岩」があって、その夫婦は注連縄で結ばれている。

どうもこれの印象が強烈で、地域全体の「注連縄」の代わりではないのかと
思い込んだりする次第。「あれがあるから、ウチはいいだろう」と伊勢は考えた?
歴史年代を通してこの縄は波濤に耐えてきたのですから、
その継続管理努力たるや並大抵ではないだろうと思います。
伊勢地域全体を「引き締める」ような役割を果たしてきたのかもしれない。

おっと、横道にそれる。で、上の写真の注連縄群。
出雲と北海道神宮は、どうもでっぷりとした中太り横綱系のデザイン志向。
わたし的にはこの流れが「正調」と思っていたのですが・・・。
出雲の写真は「神楽殿」ですが、拝殿のものも同じデザイン。
初めて見たのは神楽殿で、その圧倒的な重量感に「おお」と感動した。
神社史からも最古参級の出雲に対して最新の北海道神宮の注連縄は、
上にオマケで俵が乗っかっているデザイン。
こういうのもほかであんまり見たことはない。
開拓の願いを込めて、地域の物なりがよくなるように願掛けしたのでしょうか?
注連縄本体は、出雲とは違ってねじれの少ないシンプルな中太りデザイン。
両端部分に組み紐的な飾りがつけられているのは、ご愛敬か。
で、関東、相模国の寒川神社では、注連縄は真一文字。
気持ちいいほどの「一本気」を感じさせるデザイン。
静岡県の三保の松原の御穗神社(下写真)でも同様の注連縄だったので、
「東海」地域のデザインであるようにも思われるのですが、さて。

神社の注連縄ってその場で「見比べる」ということは出来ない.
「お、注連縄か」と認識する程度で、オリジナリティに気付くことはそれほどない。
わたしは「地域住宅雑誌」を発行し続けてきたので、
こういった地域ごとの「文化の違い」ということが、どういう文脈なのかと
考えることが習慣化している部分があって、地域偏差がどうも気になる。
行方が心配・気がかりな「GoToキャンペーン」ではありますが、
健全な旅行観光の目玉としての神社仏閣の建築周辺デザインについて、
みなさんのご意見もうかがえればとブログに書いて提起する次第です。
お気付きの点を、ぜひ教えてください、どうぞよろしく。

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