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【神社山の家 冬期の「反射光」利用】


きのうは当社の仙台のスタッフも合流して
札幌市内の設計事務所2軒のオフィス訪問していました。
ご紹介するのは「神社山の家」と名付けられたヒノデザインアソシエイツ社屋。
Replan誌面でもご紹介したことがあるのですが、
わたし自身ははじめてお伺いしました。
写真上はメインスペースと言えるダイニングに開いた開口部。
背景になっている山地は北海道神宮の持ち物の山で
その名もズバリ「神社山」という山であります。
札幌市内から見るといくつもの連なりとして見えるので、
近接の「円山」とか「三角山」のようには馴染みはない。
しかし言われてみれば北海道神宮から続いているような位置関係にあります。
小雪傾向のことしの札幌ですが、さすがに
うっすらと雪化粧はしているので、この窓からは
白い背景になってこの家の室内にハイキーな光彩をもたらしている。

この光彩をどう考えるか、どう利用するか、
いろいろ考え方は分かれるところかと思います。
夏場には見事な緑のスクリーンを提供してくれるのですが、
冬場には寒々しい素寒貧な光の乱反射だとも言えるかも知れない。
しかもこの神社山の斜面に抱かれた住宅の場合、
ほとんど垂直っぽい「壁面」のようにこの窓からは感じられる。
冬の間、目のピント調節にとって北海道の雪景色は過酷とも思える。
頻繁に屋外と室内を行き来すると立ちくらみするようなこともある。
白い「反射板」光が冬中視界に飛び込んでくる環境って
たまにならばいいけれど、ふだんの生活シーンでは過酷でもある。
なので、いろいろな建築の仕掛けで制御したくもなる。
しかし、こちらでは窓回りの面材として白く反射率の高い素材を使って
より積極的にこの「外光」を室内に導入する仕掛け。
左右の側面、下の面材、さらには天井側のコンクリートと、
積極的に反射光として取り込まれている。
しかしよく見ると外壁の木がその中間で光を調節してくれてもいる。
・・・という空間で1時間ほど過ごさせていただいたけれど、
これがすごく「落ち着く」ことに気付かされていました。
わたしはこの窓面に対して背面していて、反対側の開口からは
北側の石狩湾方面までの眺望が遠望できていたこともあるけれど、
この白い窓面に、光環境として凶暴性は感じられなかったのですね。
むしろ、神社山のこの斜面は適度に雪の面がまばらで
笹などの緑も点在しているので、そういう光のムラが感じられて
印象を和らげてくれているように思いました。
室内にはいろいろなバウンド光も仕掛けられているけれど、
かわいらしい白熱電球の「色味」も適度にスパイスになっている。
室内照明は全照明型ではなく局所照明型でしつらえられていました。
そういえば、こちらの家ではサーチタイプの照明を山に向けてもいるとのこと。
ただし、そういうサーチライトは自然の緑に対して暴力的で
長期間浴びせ続けると植物にストレスになると使用頻度時間に配慮もしていると。
いずれにせよ、室内と外部の光環境について丹念にコントロールしている。

北海道多雪地域の住宅にとって、この冬場の雪面からの反射光を
どのように住宅として対応していくのかは、
末永く悩まされ続けるテーマだと思います(笑)。
そのテーマに楽しい対応をしている住宅ではないかと感じておりました。
日野さん、見学機会をいただきありがとうございました。
おかわりまでいただいた、コーヒーもたいへん美味しかったですよ〜。

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