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海辺の家

写真は、松島湾に面して建っている家。
画面中央の白い家なんですが、
複雑な湾入りの対岸側から撮影したものです。
昨年の夏に撮影に行ってきた住宅。
東北では不思議と、海に面した住宅を撮影する機会が少ない。

リアス式海岸の地域では
海辺に建てるのは、地盤強度の面から難しい、
というようなことも聞いたことがあります。
それと比較的に地震被害が多い地域であり、津波の心配から、
出来れば避けるというような事情があるのでしょうか。
しかし、自然環境と住まいという側面から考えると、
市街地では、窓を開けるにも
いろいろな配慮をしなければならないけれど、
少なくとも眺望の面では大きなメリットがある。
松島地域などは、仙台都市機能とのアクセスで考えれば
大きなメリットもありそう。
普段からそんな思いをしていたので、
この住宅は、新鮮な思いをしてみていました。

松島とか、気仙、塩竃といった地域は
狩猟採集の縄文時代から、人口集積の大きな地域だったようです。
暖流と寒流がぶつかる湾入りの多い、気候的に東北でも温暖な地域なので、
非常に有利な居住条件だったのでしょうね。
家の中にいると、そういう自然条件が手に取るように感じられます。
この家は、奥さんの実家がすぐそばに建っている
実家は漁師さんで、それこそスープの冷めない距離でも生活なのですね。
人間は、DNAに刷り込まれるように
生まれて暮らした地域や気候風土に愛着を抱くものなのでしょう。
ただし、現代では経済的な基盤は
会社勤務であって、この家はいわば生活するためだけのもの。
そんなことから、「生活感のない」
まるでホテルのような生活が実現しています。
こういう「生活感が感じられない」ということに
どうも現代人は大きな憧れを持っているのは事実でしょう。
長い年月、経済活動と暮らしというものが強く結びついてきた「伝統的な暮らし方」
に対して、会社勤めが標準的な暮らしになって、
住むと言うことが、比較的に自由度が高くなっている。
会社勤務を優先させれば、あちこちと転勤するのが当然の社会になった。
そんな時代の感覚表現の一種が
「生活感を感じない」という「価値観」といえるでしょう。

世界規模での資本主義大競争時代にあって、
その方向は拡大していくでしょうが、
住宅と地域的経済性との連関性の消失という側面はどんどん、進行していくでしょう。
さて、そういった価値観が
ずっと永続的になっていくのかどうか、
どうなっていくものでしょうか。

北のくらしデザインセンター
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