本文へジャンプ

【ITで環境破壊された産業領域〜音楽ビジネス】

高校の同期生にジャズギターリストがいます。
笹島明夫クンと言って、その業界では名も売れている。
ながくアメリカが本拠で活動してきたけれど、
いまは独り身になったこともあって、札幌に拠点を移してきている。
先日久しぶりにわが社を訪ねてくれて、旧交を温めた。
わたしたち年代が生きてきた時代は、世界を覆う戦争はなかったけれど、
それとは全く別の大変動として、アナログからデジタルへの革命があった。
そのもっとも過酷な影響が及んだひとつは音楽業界だったように思う。

音楽という人類の普遍的な興味領域は、
近代になって「レコード」という技術が基盤を提供して
その媒体を「販売する」という形式でビジネス化が進んだ。
ラジオとかテレビとかのメディアでも重要な「販売促進」ができて
「流行」などの動機付けも社会的にシステム化が進行して
隆盛していったのだと思う。
レコード技術、音楽の「モノ」化・商品化は初期の回転盤形式から
CDなどへと変化して行ったけれど、
いずれにせよ、そういった「商品化」されたモノが成立することで、
生産から最終販売に至るまでの「エコシステム」が形成された。
しかしインターネットの出現でこれらのメディア化ビジネスが頓挫し、
やがて消滅していった。先日、わたしたち年代の郷愁ともいえる
札幌市中心部の老舗のレコードショップの破綻がニュースになっていた・・・。
途中ではAppleのダウンロード型ビジネスなども提起されたけれど、
結局はいったんデジタル化されてしまえば、
事実上ダウンロードでの課金も難しくなった。
YouTubeなどの出現はそもそもの前提を崩壊させてきたといえる。
こういった激変する環境の中で、かれは音楽で生きてきた。
考えてみると、わたしたち年代が生きてきた環境は、
そのちょっと前ピークの「商品化」による無限な市場拡大幻想が強く働いた社会で
その社会常識に支配されていたのだと思う。
それまでの社会に存在したさまざまな価値感が当然のように「商品化」され
ビジネスとして存在し得ていた。
久しぶりに会ったので最近作をCDとしてお土産に受け取ったけれど、
最近のMacやPCではメディア再生トレーも消失している。
ようやく古い再生トレーを引っ張り出してきてなんとかデジタルデータ保存した。
いま、音楽で起こっている変化は
ライブという形式での「課金」方式と、SNSなどでの拡散になってきている。
ビジネスモデル、事業環境がまったく想像を超えて変化した。
こうした大変化は「電波独占・市場保護」されたテレビ業界を除いて
さまざまな業界にも大津波としてやってきている。
大津波後、違う環境の中でどう生きるか?ということ。
そういうなかでは、住宅という領域は全く違いがあるのでしょう。
空間というモノは、デジタル化はきっと最後まで不可能でしょうね。

コメントを投稿

「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」

You must be logged in to post a comment.