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【時代遅れの碍子配線へのノスタルジー】

写真は先日行ってきた北海道十勝の「古民家風」蕎麦店内部。
この建物は数十キロ離れたところから「移築」されたと聞いたのですが、
くわしい状況についてはお店からヒアリングすることはできなかった。
お昼時で超多忙だったので、聞けなかった。
なんですが、写真を取ってみると柱や梁などはどうも新材を使っているように見える。
新材に茶色く塗装して「古民家風」としている印象。
で、その「移築」はいまから十数年前くらいだと言われた。

わたしが興味を持ったのは、電気配線をそのまま露出させた
「碍子配線」が採用されていること。
わたしもこの移築時期のちょっと前に旧事務所で採用していたので
強く興味を惹かれた次第なのです。
ただ、お店の方に聞くことはできなかったので、
この碍子配線の経緯を確認することもできませんでした。
碍子配線というのは、陶器製の電気線巻き取り装置で
電気配線を行っていくもので、
建物が前から建っているところに、「電気が後から」入ってきたことを明示する。
十勝に電気が導入されていったのは、さて何年前かは知りませんが、
まぁ十数年前には確実でしょうから(笑)、
この碍子配線はそのときに「意図的に」工事されたに違いない。
わたしの工事の時にも、この「碍子」を確保するのはけっこう苦労した。
設計者がプランしてくれたのですが、施工会社が手配してみると
北海道中に在庫はなくて、横浜の倉庫から見つけ出されたと言われた。
そのうえ、この碍子を使って電気線を配線していくのに、
工事技術者がいなくなっていた。で、数少ない技術者を探し出してきて
配線してもらった記憶が鮮明に残っています。
ということなので、ほぼ同時期、十勝でどのような経緯で
こうした工事が行われたのか、興味を持った次第。

いまや、IT化の極端な進展やクルマも自動運転がどうのこうのという時代。
こういった「手仕事」は存続可能性が低くなっているけれど、
ふと、目に飛び込んでくると、やはりなにか感じさせられる。
やがて人類記憶的に「古層」を形成するようなことがらだろうけれど、
なにか、力を感じるように思えてならない。

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