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【北の木々・自然との共生を志向する家】


きのう2018「きらりと光る北の建築賞」を受賞した建築家・高野現太自邸を見学。
まぁ当然のことですが、北海道内での面白い建築の情報は
地域の住宅雑誌を継続していると、いろいろに情報が集まってくる。
それが誌面に表現されて一般に知れ渡っていく。
そうするとまた、まるで呼吸するようにあらたな情報がフィードバックされてくる。
そういった情報循環のなかにあるのがわたしたちメディアなのだと思います。
建築はそのような情報循環と言うことが非常に大きな部分を占めている。
つくるひとと伝える立場とは、建築を通した循環の役割を共同している。

この住宅は自邸ということなので、
やはり「建築家として発信したいなにごとか」が明瞭にあらわれている。
考えてみると、わたしの拙い情報循環活動の起点もこれだった。
きょう紹介する外観と、メインルームからの眺望写真。
どちらも、札幌の冬の自然がくっきりと切り取られているように感じた。
そう、一般解にちかい「冬の札幌」という自然が感じられる。
自邸と言うことなので、敷地選択には相当の思いがあっただろうと思います。
2枚目の写真で建物の構造フレームと周辺の樹木とが
まるで「あわく」同心しているように感じた。
設計者の高野さんも同様の説明をされていた。
訪問している間中、周辺の樹木は雪の晴れ間の微風に揺らいでいた。
樹高10数メートルの落葉樹がゆったりと揺れる様は、
それも雪が基調色を提供している環境景観のなかでは
まことに「イキモノ」感がクッキリと伝わってくる。その空気感に深く共感できる。
いま、この時間を、この木々と共生して過ごしている実感を持てる。
外観はシンプルなボックスのようだけれど、
このような「自然との共生」のコントラストを効かせるように
住宅内部からの「視線の通り抜け」をメインテーマとしてデザインしている。
そのために内庭的なスペースが2箇所、取り込まれてもいる。
立地選択だけではなく、建築的な配置計画でも周到に意図していた。
外壁には45mm幅の胴縁用材、長さ3mほどの材が張り巡らされていた。
聞くと、特段塗装などもせず、自然に風化していくことを意図している。
素材は道南杉だということ。
たぶんコスト的には相当安価だろうことが想像できる。
ただ、このように使っていくには現場が非常に大変だっただろうと思う。

清々しいばかりの明快なコンセプトに
思わず「キラリと光るなぁ」と、賞の選考者のみなさんと同じ感覚を味わった。

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