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【窓辺の冷輻射対応 TAO・川村弥恵子スタイル】


年の初め時期は研修などの社内行事に好適ということで、
仙台からのスタッフも交えて、住宅見学に行くことが多くなります。
きのうは札幌市内のTAO建築設計・川村弥恵子さんの事務所を訪問。
南北方向にも、東西方向にも1.5mほどの高低差がある敷地条件に
柔軟に対応した内部プランのワンボックス的空間。
南面からの太陽光日射に即してそれを冬場の暖房エネルギーとして
輻射熱として取り入れると同時にさまざまな「反射光」としても
大きな内部空間要素として取り込んでもいる住宅サイズの建築。
いずれは住宅としての利用を考えた設計になっているということ。

建築家の自邸的事務所建築ということで、
いろいろ実験的な試みがなされているのですが、最終的には
「北方向に開口させた窓からの庭の景観」をメインに据えたデザイン。
そういう意味ではきわめて日本建築的な、
京都に見られる庭園満喫建築群と同質のデザイン感覚だと思います。
龍安寺や大徳寺龍源院などに一種の極限を見る日本人マインドが
どのように高断熱高気密をわきまえながら実現できるか、という
北方ニッポン人的な空間構想だと思います。
たぶん、北海道で住宅サイズの建築をいま作ろうとする人には
広範に存在するメンタリティそのままなのでしょうね。
そういった建築意図に対して、いろいろな素材だったり、材料、技術が
試行錯誤を重ねながら、ディテールでいろいろな表情を見せてくれる。
わたしとしては、小さなところに目が行くタイプなので
北海道の住宅ではほぼ必須である窓辺の冷輻射対応としての
窓下放熱の扱い方に興味が向かっていました。
暖房自体は砂利を床面下に敷き込んで、
そこに銅管でパイピングした温水を循環させているそうです。
それに対して、写真下の窓辺のスリットは窓の結露を防ぐため専用の工夫。
どんなに窓ガラスの性能が上がり、コストが下がったとしても
やはり壁よりはどうしてもガラス窓は表面温度は下回らざるを得ない。
そこでやむなく「コールドドラフト(冷輻射)」は発生する。
ここではスリットを2本床面に開けて、窓辺に近い方でダウンドラフトを自然に受け入れ
そして室内側のスリット側に温水循環させた銅管で放熱させることで
空気循環を促すようになっている。
冷輻射に対して加温して空気を上昇させることでマイルドに室内空気と
ブレンドさせて、室内気温を一定に保たせる工夫、という説明でした。
そういった検討の結果、この2本のスリットの幅と間隔が決定されている。

このような冷輻射対応はさまざまな試み、対応がされてきていますが、
言って見ればTAO・川村弥恵子スタイルのデザイン処理とでもいえるでしょう。
さらに、窓辺ではもうひとつオモシロい発見もありましたが、
それはまたあした、触れてみたいと思います(笑)、乞うご期待。

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