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紙の建具と日本的感受性

北海道の住宅がほぼなくしてきたものに
屋根瓦とともに、障子があります。
障子って、その起源から考えると
なんなのでしょうね。
こういう民俗学的な検証って、あんまり見ることがないのですが、
襖がさきに考案されて、その後100年ほどして、
平安時代末期に「明かり障子」が生まれたというふうに
Wikipediaでは、説明されています。
まぁ、どう考えても、木造軸組という
それまでの一般的住居であった、竪穴住居に対して、
先進的・文化的な建築様式をさらにきらびやかに彩るものとして
はじめは、多くの人々の羨望を誘ったものだったのだろうと思います。

和紙を木格子の枠に貼っていくという考え方は、
どう考えても、窓として、採光が一番の要因として発生したのでしょうね。
そういうことなので、
北海道のように、ガラスが一般的に多く流通するようになって
住宅が建てられるようになった文化後進地域では、
はじめから、障子に対する文化性よりも
機能性としての窓ガラスの方が普及して、
障子にはそれほどの需要が発生しなかったのでしょう。

でも、そうであるからこそ、
その文化的な機能性に、どうも思いが至ります。
その細い木組みが生み出す格子模様を、わたしたちの祖先たちは
ずっと眺め続けてきていたのだ。
という民族的な体験の積み重ねって、
さてどんなふうに影響してきているのだろうかと、
いろいろに想像が膨らんでいくのですね。
そのタテ横の比率選択にはどんな価値判断が働いてきたのか、
すこぶる興味があります。
おおむね、タテ3ヨコ4くらいの比率が多いと思いますが、
現代のパソコンのタテ横比率と比較して、どうなのか、とか、
この比率の変化もまた、大きなデザイン要素として考えたに違いないとか、
枠の太さと桟の太さのバランスは、とか、
考え始めるときりがないくらい、検討要素がある。
まぁ、きっと建築デザインの先生たちの中には
こういう領域で研究成果をあげた方もいるのかも知れません。

しかし、幼年期、それこそ赤ちゃんの時から
なんとなく、ぼんやりと眺め続けているということから考えて
相当、刷り込まれているものがあるはずですね。
数学が強い国民性って、こういう事と関係するかも知れないとか、
まことに「民俗的」興味はどんどん深まります。
民族の感受性にも大きな影響を与えているに違いありませんね。

北のくらしデザインセンター
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