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【トランプのアメリカの転換と「坂の上の雲」】

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本日は、読書中間感想文(笑)、であります。
わたしは大多数のひとと同じように、
日本の近現代史については、高校までの教育では学んでいません。
70年前の敗戦という破局を経て、日本人は
そこに至ったプロセスを学ぶことにすら、
ある禁忌を課してきたことのひとつの表れが、こういった
事実上の教育「制度」であることは、厳然たる事実でしょう。
その根拠の大部分は、アメリカによる事実上の長期的占領継続、
冷戦以降も続いたアメリカによる世界戦略のなかで、
その軍事的プレゼンスを国内に受容し続けなければならなかった。
そのことは「属国」と言われてもやむを得ない状況ではあるけれど、
逆にアメリカの軍事力・抑止力の傘の下で、自らの国家戦略とか、
そのための防衛戦略などについて本格的掘り下げをしなくて済んできた。
日本人はそのようないわば真空状態に長くいるけれど、
今回のトランプのアメリカ大統領当選は、再度、現在の国際関係の中で、
日本がより自立的な動きをせざるを得ない状況に向かう、
その象徴的な号砲のように思われます。

そんな経緯から、司馬遼太郎さんの著作のなかでも気の重かった
「坂の上の雲」を読み進めています。
とにかく長い。全8巻の大長編、Kindle版でも5,400円という大作。
明治の開国、その経緯からさらに日露戦争に至る
帝国主義争闘真っ盛りの東アジアと世界の情勢の中での、
日本の「国家戦略」について、司馬さんの目を通して読み進めております。
近年、日露戦争とは第0次世界大戦であったという論が
語られるそうですが、まさに剥き出しの帝国主義戦争のなかで、
日本人が生きた軌跡、その群像について
直接の自分の血のつながり、脈絡のような思いも沸き立ちながら、
まるで首から上の腫瘍について考えるような思いがしてきている。
トランプさんとは、基本的にアメリカのホンネがより強く訴求されてくる
そういった政権であろうと思われる今、
冷静な「国家戦略」、国として、地球市民としての生き方を
日本人と社会に迫られるのではないかと思います。
先人の知恵、思いを大いに汲み取って行かねばなりませんね。
それとやはり、近現代史はきちんと教育すべきでしょうね。
これからを生きていく上で、近しい過去を正直に学べないというのは、
基本において狂っている事態だと思います。

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