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【隈研吾 「森舞台」登米町伝統芸能伝承館】

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2日間、仙台への出張でした。
やはりわたしには通常業務の他に建築や住宅の鑑賞、取材は必須です。
きのうの午前中に用件をあらかた片付け、以前から見学したかった
宮城県北東部の登米の表題の建築見学へ。
この建物、隈研吾さんの日本建築学会賞受賞建築です。
思った以上に遠くて、仙台市内から片道で70〜80km超。
う〜〜む、隈研吾作品なかなか手強い(笑)。
隈さんの作品は、北海道十勝の大樹町の「メムメドゥス」以来、
あちこちと見学させていただいております。
ことしは国立競技場設計で伊藤豊雄さんを押さえてプランが採用された。
外観についての隈さんの説明を以下抜粋。

〜町のほうから能楽堂を見ると、スギの間伐材を使ったルーバーに。
かすかに向こうが透けて見えるという感じをつくっています。
ルーバーは角度とか光の状態によって、完全に透明になったり、
板状のものに見えたりと、見方によって全然達います。
時間によってまったく変わって見える物質性、要するに
写真では伝えきれない物質性というものがルーバーにはあります。
たいへん魅力的で、このあとルーバーが頻繁に出てきます。〜

っていうことだそうです。
いろいろな隈さんの作品でも特徴的に使われている。
今回の国立競技場には、北海道カラマツが大量に使われるとも聞いた。
設計意図として屋外型の能舞台を作りたかったということで、
周辺の山からの森の気配のなかにぽっかりと能舞台が浮かんでいる。
それを際だたせるのに、ふつうは「白州」という白い砂で仕上げるのに、
ここでは「黒い砂」を使った、ということでしたが、
昨日行ったときには、乾燥して白っぽい砂になっていた(笑)。
平面的には、主要な「見所」という屋内鑑賞室が能舞台と正対している。
その左側に「黒い砂」を敷き込んで段々になっていて、
段の縁をステンレスのフラットバーで押さえてスパっと切り、
ちょうど水面が滝のように流れ落ちているようになっている。
まことに緊張感を感じさせる見せ方であります。
能舞台の屋根仕上げは、東京駅にも使われて話題の地元の玄昌石。

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「浮かんでいる」ようにしたかったということで、
普通は「幕板」で覆う舞台の下が開放されている。
能舞台というのは、一個の「楽器」だと言われるのですが、
その所以があきらかになっていて、大変面白かった。
ごらんのように、大きな甕がいろいろな方向に向かって口を開いている。
この上の「舞台」を能の役者さんが「踏み鳴らす」ことで、
いわば太鼓の面のようになって、発生した音響が各方向に伝わっていく。
こういった設計仕様が施されているのですね。
いろいろ面白い発見もあった楽しい建築鑑賞でした。

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