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危機のはじまり? 米中首脳会談

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怒りを内側に溜め込んだ表情のオバマと、
自国メディア向けに、可能な限り背筋を伸ばした習近平。
多くの報道写真では、そんな写真が掲載されていました。
たぶん、会談の中身も、オバマの敗北、習近平の粘り勝ち
そういった内容だっただろうことがうかがえます。

今回の習近平訪米は、同時期にローマ法王の訪米時期をぶつけ、
さらに、中国ビジネスで巨利をあげてきたドイツ企業フォルクスワーゲンを
アメリカ政府が叩くという環境の中で行われた。
たぶん、アメリカの圧倒的な独占状況であるに違いない
「サイバー空間覇権」問題では、これまで国際ルールを作らないことで
実はアメリカ自身がいちばんメリットがあるなかで、
そこをアメリカの弱みと見て、したたかに、いわば「サイバー軍事力」を
中国は高めてきていることが明瞭になっている。
そうした部分で、中国による米国企業へのハッキングが発覚し、
オバマは責め立てたのだろうけれど、
そもそも国際間ルールが存在していないことから、習近平は軽くいなして、
「高官級協議」を約束しただけに終わった。
日本の年金情報問題なども、こうした文脈があることも容易に想定できる。
さらに、南シナ海でのあからさまな人工空軍基地問題も、
前回、首脳会談でオバマが黙認した「新型大国関係」をテコに
習近平は、「自国領土」であり、「軍事利用はしない」という
リップサービスだけで、切り抜けてしまった。

こうした内容が明らかになってきて、しかし、こうなるであろうことを見越し、
これまで親中国的な誌面作りをしてきたと自ら告白したうえで、
きのうのウォールストリートジャーナル誌は社説で、
「ホワイトハウスが取り得る対応のひとつに、米海軍の艦船を
南シナ海にある人工島の12カイリ(約22キロメートル)内に
入り込ませることが挙げられる(そこは公海上である)。
米国が渋れば、中国は自国が主張する領有権が黙認されたとみなす。
米国はまた、データを盗んだ中国企業に制裁を課すべきだ。
より広く言えば、次の大統領は米国の経済成長を復活させて
防衛を建て直すことに注力し、
太平洋の軍備を見直すべきである。」〜以上引用
というように、オバマ政権に注文を出している。
アメリカ世論のうち、どこまでこうした意見が力を持っているかは、
定かではないけれど、かねてから国防省からは
米軍艦艇を中国の人口島周辺に航行させるべきだという主張はあった。
緊張が高まっていた中国による東シナ海での「防空識別圏」設定時には
間髪を入れずに、オバマ政権はB29をこの圏内に飛行させた。
そのような軍事的オプションを、はたしてオバマ政権は取るのか、
あるいは取れるのか。
習近平の表情からは、どうもそういう手は打たない、打てないという
読みに基づいて中国は今回の会談を乗り切ったと理解出来る。
今後の米中関係には目が離せないことになりそうです。

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