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お盆休み・人類学の読書

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さて、お盆休み、みなさんいかがお過ごしですか?
わたしは、本日は遠出してくる予定ですが、
一昨日Kindle本で購入した1冊を読み進めております。
著者の西田正規先生という方は、筑波大学の人類学教授ということ。
出版社は講談社で、「学術文庫」なんだそうですが、
読み始めてみると、本当に読みやすく書かれていて
やはり、本当の知識人とは、姿勢が「科学的」で平明であると
いまさらながら、再認識させられます。
Kindleでの内容紹介では以下のようなダイジェスト。

霊長類が長い進化史を通じて採用してきた遊動生活。
不快なものには近寄らない、
危険であれば逃げてゆく
という基本戦略を、人類は約一万年前に放棄する。
ヨーロッパ・西アジアや日本列島で、
定住化・社会化はなぜ起きたのか。
栽培の結果として定住生活を捉える通説は
むしろ逆ではないのか。
生態人類学の立場から
人類史の「革命」の動機とプロセスを緻密に分析する。

という内容の本なのであります。
わたしの歴史好きのひとつの興味分野である、
巨視的な人類史での最適な1冊のように思われます。
先生のお教えでは、現生人類に先行するさまざまな人類を
すべて含め、おおむね500万年の長きを生きてきたけれど
現生人類にほぼ集約された、つい最近の約1万年前になって、
「定住」革命をはじめた、とされています。
人類史のスパンで考えると、まさに一瞬に近い中で
人類は「文明」的な暮らしようを始め、いまもなお、
その激しい生活革命のまっただ中にあるのだとされている。
わたしの仕事の専門領域である定置的な住宅など、
長い人類史で考えると、高々500世代内外で積み重なってきた
生活環境装置に過ぎないのだと、明瞭に知らされます。
誰にでもわかるように、わたしたちには、DNA的に刷り込まれた
「感覚」領域があって、そこでは太古からの祖先の
体験記憶が刷り込まれているのだと思う。
そういった感覚が、では現在の定置的な住宅という
「最新」の装置・環境の中で、どのように決定因子としてふるまうのか、
そんな強い読書動機を掻き立てられています。
・・・それにしても、電子書籍はまことに便利であります。
基本、家にいる間はkindleで読むのですが、
外出時にも、iPhone6+で、連携して読み続けることができる。
こういう読書勉強環境というのも、人類史上の奇跡的なことのように
思い知らされる次第であります。
また、現代の最高水準の知見を、
大学外でもこんなかたちで社会人学習が可能になっている。
よく言われるように、歴史は各時代ごとに研究は
「専門化」が進んでいるのですが、
その「通史」としての理解は、わたしたち凡人に可能になってきている。
まことに喜ばしい環境を人類は創造してきていることかと、
感動の思いが募って参ります。

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