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有島武郎「生まれ出ずる悩み」イマドキ読書体験

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木田金治郎さんの美術館というのが北海道岩内町にあります。
何度か、好きで行っていますが、そうすると
有島武郎さんのこともワンセットで思い起こされるようになる。
有島さんが書いたベストセラー小説「生まれ出ずる悩み」で、
木田金治郎さんはモデルとして描かれ、
零落した網元の次男として、東京での遊学の道を断たれ、
それでも画業への思いを断ち切ることができない青年・木田を
叱咤激励するようなかたちで文学作品としてあらわされていた。
有島さんの死後、木田さんは実家の漁業を離れて
画業の道に進んで、成功を収めたという展開になっている。
北海道を舞台にした人間ストーリーであるワケですね。
記念館にも相当前に一度、行ったことがある記憶はあったのですが、
先日、この記念館を再度、訪れてみました。
まぁ、なんとなく事実関係の概略のようなものは知っていたけれど、
わたしは、この小説は読んだことはありませんでした。
木田さんの絵を見てみて、一度は「生まれ出ずる悩み」読んでみたいと
思っていて、考えてみると、著作権が切れていて、
Kindleで無料で読めるのではないかと思ってみてみたら
案の定、無料で全文が公開されているのであります。
で、雑誌では電子形態は一覧性の面で難しさを感じているのですが、
一方で最近は、テキスト主体の書籍は電子形態で入手しているので、
さっそくダウンロードして、読んでみました。
テキスト文章主体であれば、やっぱり短い時間の効率運用として
電子書籍はたいへん便利なものだと思われます。
Kindleで読み、iPhoneで外出時の空いた時間にちょっと読み、
帰って来てふたたび、画面のきれいなiPadで読む、
パソコンMacで他の仕事や用事の合間にちょっと読み進める・・・、
というように、連携しながらクラウド上のデータを読むのはやはり便利。
作品もそう長くはないので、あっという間に読了できました。

小説の中で、初冬にこの有島記念館のあるあたりから、
朝になって吹雪の中を木田さんが岩内へ帰っていく様が描かれていました。
大正時代のこのころ、およそ100年前くらいのこと、
「どうやって帰ったんだろうね?」
と、有島さんファンにして女学生時代、研究もしていたという
カミさんに尋ねてみたら、即座に
「歩いて帰ったんでないかなぁ・・・」ということ。
鉄道は当時、そこそこ便はあったようですが、
木田さんの家庭の経済状況を考えると、歩いて帰ったかもとも思えた。
この建物があるニセコ町有島から、木田さんが住んでいた岩内は、
現在地図で見てみると30kmか、40kmくらいはあります。
Mapでデジタル表示の地図を見ながら、しばし昔人の行動力のすごさに
思いを至らせたりしておりました。
すでに100年以上の歴史的過去のさまざまが、
かなり具体的な事実の発掘、想像力の具体化が可能になってくる。
21世紀的な楽しみ方が、あり得るのだなぁとワクワクさせられています(笑)。

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