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人類史という巨視的視点から

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人類というのは、現生人類ばかりではなく
たくさんの種が生まれて、地球上に生存してきたけれど、
結局いま現在生き残っているのは、われわれホモサピエンス1種類。
そのホモサピエンスの歴史は15万年とも20万年とも言われる。
その人類が、アフリカを出て世界各地に進出を開始してから
おおむね5万年と言われています。
ヒューマンジャーニーともグレートジャーニーとも言われる旅ですが
写真のような拡散の仕方をして現在に至っている。
ヨーロッパ大陸に向かった人々とは遺伝子的にはこの頃に
分化しているというような発見も最近あったそうです。
かれらはヨーロッパで繁茂していた旧人・ネアンデルタールの人々と
同居して生き延びてきたといわれている。
もっとも拡散が遅れた南アメリカ大陸の果てには12,000年前後に
到達し、その後は太平洋の島々に拡散が行われていった。
ハワイ諸島などには1500年前くらいといわれるから
考古的なレベルと言うよりも歴史のレベルの出来事。
いや、考古学的な進展と歴史時間が交差しているともいえる。
われわれの日本列島には、3万年前くらいに到達した。
先日、北海道博物館の考古学学芸員・右代さんに聞いたら、
一般的にはアジア大陸東側沿岸地域を通ったルートがメインと
これまでは考えられてきたけれど、
実は日本列島を南西側から北東側へと通って、アリューシャン列島から
ベーリング海峡を抜けて北米大陸に向かったルートも
相当にメインのルートだったとされているそうです。
気候条件の違いを踏まえれば、地形条件も現在とは大きく異なっていた。
この「拡散」ルートの各所で、各地に住み着くというか、
その地域をテリトリーとして生計を営む人々を生み出していった。
日本列島で「縄文」システムという生活スタイルが始まったのが
約13,000年前と言われます。この時期に前後して、
世界各地で植物の品種改良による農業生産が始められる。
世界的には新石器時代と農業生産の開始が重なるけれど
日本列島では、世界でも稀な豊かな気候条件、食材獲得条件があって、
それらを活かした縄文土器による食文化の開発もあって
特異な進展を遂げてきていた。
いまのわたしたちの食文化の主流に残っている「鍋」食文化は
この縄文がベースにあることは疑いがないと思います。
巨視からまたふたたび列島社会のことへとフィードバックできる。
そういうことで、人類史全体の中でのわたしたちの位置も知れる。

こんなふうなとらえ方で考えられるようになると
人類というものの全体像が、かなりくっきりと見えてくる。
人間の「自己認識」という科学の進歩は、
本当に素晴らしいものだと、感動を覚えてきている昨今であります。
学べるということは、まことにありがたいことですね。

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