本文へジャンプ

源平争乱と平泉政権の時代

2188

連休前半はあちこちと遠出したのですが、
さすがに疲れが出て、やや体調を崩してしまいました。
年齢相当に、あんまり疲れないような
休日の過ごし方を心がけなければなりませんね。

そういったことではやっぱり読書が一番でしょうね。
3カ月くらいかかっていた講談社選書メチエの
「平泉〜北方王国の夢」弘前大学教授:斉藤利男著を
ようやくにして最後まで読破いたしました。
小説とは違い、歴史研究書なので、内容が濃く、しかも
最新知見が随所に表出していて、まことに興味津々でした。
あとがきにも記載がありましたが、
最近の北海道や平泉周辺での考古学的な発掘が進展してきて
さまざまに学会の研究に反映されてきているようです。
これまでの奥州藤原氏への見方に大きな膨らみが出てきています。
基本的には、中国王朝に対する「渤海」国のような位置に
奥州藤原氏・平泉政権は日本中央政権に対して立っていたという認識。
基本的には朝貢関係ではあるけれど、
ほぼ外国であり、日本国の政争とは局外中立の立場であったこと。
繰り返し、平家側や院政側から政治的に味方に引き入れようという
政治工作が盛んに平泉に提起され続けていた様子が明示されている。
源平争乱の時代の政治状況認識のなかでは、
頼朝と関東の武家軍団は、出現当初は反乱集団であり、
朝敵として認識され、そのように扱われていたのにもかかわらず、
まったく予想も付かない形で、平家軍団を完全殲滅してしまったこと。
勝てば官軍そのままに、政治的立場が大転換したこと。
そういった予想外の事態の結果、平泉側は
いわば政治的に予測を誤ってしまった、という見方のようです。

わたしの積年の念願、北海道と日本歴史の交差点として
この時代が、いちばん接近遭遇に近いという確信を
抱かせられる思いをした一冊でした。
しかしまだ北海道側では、文書ではなく考古遺跡事物から
推論を働かせていく、というのが現状です。
その意味で、最新知見を網羅してリニューアルした
旧・北海道開拓記念館を改名した「北海道博物館」展示に
大きく期待して見学して来たいと思います。
これまでの研究成果が、相当突っ込んで解釈変更されていると
噂では聞き及んでおります。・・・楽しみであります。

コメントを投稿

「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」

You must be logged in to post a comment.