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家づくりの現場工程を科学する

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きのうは2日目の新住協総会。
全国の会員からの研究発表に対して、鎌田紀彦先生のコメントが添えられる。
古株の会員の住宅に対しては、かなりの深みの部分での突っ込みがある。
遠慮のない突っ込みなので、傍目にはハラハラもするけれど、
そういった遠慮のない姿勢というのが新住協の真骨頂。
そうなんですね、あくまでも「技術研究集団」というのが基本スタンス。

現在の研究領域で言えば、
暖房と冷房のベストバランスはどのあたりにあるのか、
というのがポイントになるのだと思います。
伝導で考えることが基本になる断熱と比較して
対流や輻射、さらに通風と言った視覚化しにくい領域での
「空気と温度のふるまい」に科学のメスを入れていかなければならないので
くっきりとした姿はなかなか見えづらい。
しかし、こういうことを論議しているのに
ある一定の理解領域がだんだんと明瞭になってくるのも事実。
このあたりは、「いごこちを科学する」というような領域でもあります。
そういえば、わたしどものReplan誌では
東大准教授の前真之先生の「いごこちを科学する」を連載中。
こういった領域での研究がどんどん進んでいくことを期待したいですね。
しかし、やはり鎌田先生の研究姿勢はまことに稀有。
全国の工務店が現場的に作っている住宅建築を
つぎつぎと俎上に載せて、実戦的なテーマにする。
そのうえ、いろいろと工法的な疑問やあやまりなど指摘を受けつつも
工務店の側もしっかりとそれに応えていっている。
よく「産学連携」といわれますが、なかなか実体が伴わないのが一般的なのに
新住協での活発なやり取りを見ていると
その究極的な到達地点だというように思えます。
しかしこのような産学の連携の姿というのは、
他にはまったくといっていいほどに見られないし、
また、アカデミズムの世界ではまったく評価もされません。
研究者の世界では論文発表は評価されても
こういった産学連携は、それを評価する基準すら持っていないようです。
鎌田先生が助教授から教授に推薦されたとき、
論文発表成果に替えて、実際的な活動を
特別に論文評価相当認定としたそうですが、
しかし、広くひとびとの幸せを実現するという点では
むしろ、後者の方こそが大いに評価されてしかるべきでしょう。

さて、当社の方の課題も見えてきて
いろいろと勉強になった新住協総会2014も、これにて閉会でした。
来年の開催地はまだ、未定ということですが、
また、先端的でリアリズムに満ちた住宅建築現場が
全国で活発に進んでいくことでしょう。
メディアの役割としても考えていかなければならないと思っています。
ではでは。

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