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「蓄熱」へのアプローチ

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断熱が現代の住宅の性能の基本であるのは自明なのですが、
その上で、いま大きく注目されてきているのが、「蓄熱」です。
写真は、北海道で「潜熱蓄熱」に注目して研究開発されてきている
石戸谷裕二先生の講演会の様子です。
PCMという特殊な蓄熱材を塗り壁材に混ぜ、
室内の熱や生活排熱を蓄熱・放熱させることにより、
暖冷房エネルギーの大幅削減を実現するという「i-Wall」システムの紹介。
実験住宅での成果を発表する講演会が土曜日23日に開催されたのです。
PCMというのは、たとえば25℃で凍結・融解を繰り返す潜熱蓄熱材ということ。
仕組みとしては、室内壁にPCM混入の塗り壁材を採用。
冬期の日中に日射熱や生活排熱などで室内がオーバーヒートして
室温が25℃を超えると、塗り壁に混ぜたPCMが蓄熱を開始、
逆に夜間は室温が25℃を下回るとPCMが蓄熱した熱を放熱することで、
室温を25℃に保つようになっているのですね。
コストとしては、普通の広さの住宅の壁面150㎡程度の施工で70-80万円。

石戸谷裕二先生は、北海道職業能力開発大学校の教授。
室蘭工大の鎌田紀彦先生の門下生という研究者です。
実験には、親しくしている建築家の宮島豊さんが協力していて
実際に大きな成果を上げていると思います。
蓄熱については、全国的にも岐阜県の金子建築工業さんも
伝統工法の「塗り壁」で挑戦していて、大きな成果を上げてきている。
高断熱高気密を前提にしたさらなる住宅性能進化の方向性であろうことは
だんだん明確になって来ていると思います。
わが家は22年前にコンクリートブロックで建てた家なんですが、
そのときも「蓄熱性」には着目していました。
通常の木造では、蓄熱容量がネックになると思ったからです。
しかし、塗り壁で、潜熱蓄熱材を塗り込むだけで
そういった機能を持たすことが出来るというのは画期的。
これからの発展が大いに期待できる住宅技術だと思います。
しかし、住宅というのは100年の単位で考えていくモノ。
技術の評価についても、どうしても慎重になる部分があるのはやむを得ない。
経験値と技術改良の蓄積を大いに期待していきたいと思います。

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